ICLは、視力矯正手術の一つとして注目されています。ICLのメリットは、コンタクトレンズやメガネから解放され、日常生活を裸眼で過ごせることです。一方で、ICLにはデメリットやリスクもあります。

この記事では、ICLのメリット・デメリットやリスク、向いていない人の特徴を詳しく解説します。ICLを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

Table of Contents

ICLとは眼の中にレンズを入れて視力矯正をする治療法

ICLとは眼内レンズを埋め込む視力矯正手術

ICL手術では、特別なレンズを眼内に挿入し、近視・遠視・乱視(屈折異常)を矯正します。角膜を削るレーシックと異なり、角膜の厚さが足りない方でも受けることが可能です。

手術中、レンズは虹彩の後ろに配置され、裸眼視力の劇的な改善が期待されます。また、多くの患者さんから、手術後に異物感をほとんど感じないとの報告があります。

効果は半永久的!ICLのメリット5つ

ICLの主なメリット

ここでは、ICLの代表的なメリットを5つ紹介します。

①レーシックより手術の適応範囲が広い

ICL手術は、角膜が薄い方や強度近視を抱える方に適した選択肢です。従来のレーシックでは対応できない、左右の視力差が大きいケースにも対応できます。

対象視力が広範囲にわたるため、レーシックで手術が難しい方でも、ICLでは視力改善の望みを持てるでしょう。

②万が一トラブルが起きても元の状態に戻せる

ICL手術の可逆性は、患者さんにとって大きな安心材料となります。万が一、術後の見え方に不満がある場合や、眼の病気が発生した場合には、レンズを取り除くことで元の状態に戻せます。

これは、特に白内障など眼の健康問題を懸念する方にとって、重要なメリットといえるでしょう。

有水晶体眼内レンズは、角膜のカーブを変化させるレーザー屈折矯正手術と異なり、元に戻すことが可能な手術である。

小島 隆司、市川 一夫. (2012年). 後房型有水晶体眼内レンズImplantable Collamer Lens(ICL),P4.

③長期的に安定した視力を維持できる

ICL手術は矯正精度が高いため、長期的に安定した視力を維持できます。

ICL手術では、屈折値を細かく調整することで、近視の戻りが非常に少なくなります。その結果、患者さんは長期間にわたって見え方が安定するでしょう。

④見え方の質が高い

ICLによる視力矯正では、角膜の歪みが原因の不正乱視にも対応でき、角膜を削らないため視力の質が高いと評価されています。この方法によりコントラスト感が向上し、クリアな視界を得ることが可能です。

また、光のまぶしさに対する耐性が高まるため、立体感のある快適な視界を実現できるでしょう。

⑤日々の手入れが不要になる

ICL手術で視力が回復すると、日々の手入れが不要になります。レンズ交換の必要もなく、効果は半永久的です。

眼鏡やコンタクトレンズの購入費用やメンテナンスから解放されることは、忙しい日常生活において大きなメリットといえるでしょう。

高額になりやすい?ICLのデメリット3つ

ICLのデメリット

ICLにはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、ICLの3つのデメリットについて解説します。

①事前検査やレンズが届くまで1ヶ月以上かかることがある

ICL手術を検討する際には、事前検査とオーダーレンズの調達が必要です。レンズの在庫によっては、手術用のレンズが届くまでに1ヶ月以上かかる場合もあるでしょう。

②保険適用外なので高額な手術費用がかかる

ICLは保険適用外です。自由診療のため、手術費用は高額になる傾向があります。レーシックと比較しても価格差があり、ICL手術の費用相場は40~80万円ともいわれています。

ICL手術を行う前には医療機関に確認し、見積もりをとることが大切です。また、医療費控除の検討も、経済的負担を軽減する方法の一つでしょう。

③手術後の日常生活に一定の制限がかかる

ICL手術後は、日常生活での活動に一定の制限があります。手術直後は、保護眼鏡の着用が必要になることもあり、水泳や入浴時には特に注意が必要です。

仕事や車の運転、運動などの再開についても、医師の指示に従いましょう。また、術後のケアとして、定期検診も長期的な視力の安定には欠かせません。

ICLにはリスクもある!知っておきたい3つのリスク

ICL手術の主なリスク

ここでは、ICLのリスクについて、知っておくべき3つのポイントを紹介します。

①感染症を引き起こすリスク

ICLは眼内手術の一種であるため、レーシックと比較すると感染症のリスクが若干高まる可能性があります。細菌による炎症や眼内炎が起こると、最悪の場合は失明につながる恐れもあります。

そのため、術後のケアとして、術後の生活における衛生管理に細心の注意を払うことが極めて重要です。

②白内障や緑内障が発症するリスク

ICL手術後には、白内障や緑内障の発症リスクがあります。白内障の場合、挿入されたレンズと水晶体との間の距離が重要です。一方、緑内障は、眼圧の上昇による視神経の圧迫が原因となります。

③角膜内皮細胞が減少するリスク

ICL手術を受けると、角膜内皮細胞が減少するリスクがあります。角膜内皮細胞は角膜の透明性を保つために重要で、減少すると角膜が白く濁る可能性があります。

角膜内皮細胞は再生しないため、一度減少すると回復が難しくなります。特にコンタクトレンズを長期間使用している方は注意が必要です。

ICLの術後はハローグレア現象が起きやすい

ICL術後のハローグレア現象とは?
ハロー現象
グレア現象

ICL手術後には、光が乱反射して瞳孔の周辺に白い輪が見える「ハローグレア現象」が生じることがあります。これは、眩しい光の輪が見えたり、光がにじんだりすることにより、夜間の視覚に影響が出る可能性があります。

ICLが向いている人の特徴3つ

ICLが向いている人の特徴

ICL手術を受けるには、一定の条件があります。ここでは、ICL手術に向いている人の特徴を3つ紹介します。

①強度の近視がある

ICLは、屈折異常が-6.0D以上の強度近視を持つ方に適しています。レーシックでは適応外とされる-10.0D以上の強度近視にも効果的です。ただし、-15.0D以上では慎重適応となるため注意しましょう。

②年齢が25~40歳

ICL手術は、近視の進行が安定している25~40歳の間に受けるのが最も適しています。視力が比較的安定しているため、手術の効果が最大限に期待できます。

40歳以降では、老眼など加齢に伴う視力の変化や白内障の発症リスクが増えるため、手術のタイミングとしてはこの時期が最適といえるでしょう。

③コンタクトレンズや眼鏡の使用が不便

ICL手術は、日常生活でコンタクトレンズや眼鏡の使用が不便だと感じている場合に適しています。

仕事の忙しい方、スポーツをする方、コンタクトレンズや眼鏡の購入費用や手入れの手間を省きたい方には、ICLは理想的な選択肢だといえます。

また、緊急時や災害時にも、眼鏡やコンタクトレンズを探したり準備したりする必要がなくなるため、日常生活におけるストレスが大幅に軽減されるでしょう。

ICLが向いていない人の特徴3つ

ICLは屈折矯正法として近年改良が進んでいるものの、なかには向いていない人もいます。ここでは、ICLが向いていない人の特徴を3つ紹介します。

①すでに老眼が始まっている

ICLは視力を矯正する手術ですが、すでに老眼が始まっている場合には、適切な視力矯正が困難なことがあります。

老眼は、焦点を合わせるための眼の調節力が年齢とともに衰える現象です。この調節力は、一度衰えると回復できません。

②妊娠中・授乳中の女性

妊娠中や授乳中の女性は、ホルモンバランスの変化が視力に一時的な不安定さをもたらす可能性があります。このため、ICL手術を受けるのは通常避けられます。

加えて、この時期は麻酔や点眼薬などの薬剤がホルモンバランスに影響を及ぼす可能性も考慮する必要があるでしょう。

③眼内レンズの挿入に抵抗がある

眼内にレンズを挿入するICL手術に抵抗を感じる方は、他の視力矯正手術を選択することをおすすめします。この抵抗感は、特に神経質な方において強く感じられることがあるでしょう。

視力矯正手術には様々な方法があり、眼内レンズの挿入を伴わない選択肢も存在します。個々の快適性や安心感を最優先に考慮することが重要です。

【要注意】術後1週間はすぐに受診できる体制を整えて

ICL術後1週間はすぐに病院にかかれる体制を整えて

ICL手術後は、合併症の早期発見のために定期検診が必要となります。特に手術の翌日と1週間後の検診は、術後ケアにおいて重要です。

術後1週間は衛生的な環境を保ちつつ、眼圧やレンズの位置に異常がないかを確認します。痛みや違和感、感染症の兆候が見られた場合には、直ちに医師に相談しましょう。

また、仕事に復帰する際も、このような状況に配慮して慎重に行動することが大切です。

ICLは眼科選びを慎重に!チェックポイント3つ

ICL手術の眼科選びのポイント

ICL手術を検討する際には、ICL認定医を選びましょう。ICL認定医は日本眼科学会から特別なライセンスを受けており、執刀医としての高い専門性を持っています。

また、患者さんに寄り添い、真摯に治療に臨む姿勢を持っているかも重要です。ここでは、眼科選びのチェックポイントについて解説します。

①眼内手術の経験が豊富

ICL手術を成功させるには、眼内手術における医師の経験と技術力が非常に重要です。豊富な症例と手術実績を持つ医師は、予期せぬ事態にも適切に対応する能力が高いといえるでしょう。

②メリットデメリットについての丁寧な説明

ICL手術を選択する際には、個々の眼の状態に適した治療法を提案できる眼科を選ぶことが大切です。レーシックとICLの両方について、具体的なメリットやデメリット、リスクに関する正しい情報を提供し、個人に合わせた説明をしてくれる眼科を選びましょう。

③料金体系が明確

ICL手術は自由診療になるため、眼科によって料金体系には大きな違いがあります。度数や症状の差によって料金が異なるのが一般的です。

眼科によって保証期間や術後ケアの料金は異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。また、分割払いの有無も確認しておくと安心です。

ICLのデメリットに関するよくある質問

手術時間は?入院は必要なの?

ICL手術の平均手術時間は、両眼で30~40分程度です。また、通常は日帰り手術となりますので、入院は必要ありません。

手術中は痛みがある?

ICL手術中は点眼麻酔が行われるため、痛みを感じることはありません。手術中には医師とのコミュニケーションも可能です。

手術後の入浴はいつから可能?

手術当日は入浴を避け、肩より下のシャワーのみ行いましょう。洗顔や洗髪は、術後4日から可能です。

車の運転はできる?

手術当日の運転は避けましょう。翌日の検診時に、医師の判断によって可能となります。

翌日から仕事はできる?

手術翌日の検診が終わるまでは仕事を休むことが推奨されます。ただし、屋外作業や重労働を含む仕事を行っている場合は医師に相談し、いつから復帰するのが適切かアドバイスを受けましょう。

運動やスポーツはいつからできる?

軽い運動で少し汗をかく程度の活動は、術後1週間が経過すれば可能です。一方で、水泳や球技などの激しいスポーツは、少なくとも1ヶ月は控える必要があります。検診時に医師に相談しましょう。

手術後にカラーコンタクトレンズはつけられる?

カラーコンタクトレンズの使用は、術後1ヶ月が経過すれば可能です。ただし、使用する際は医師と十分に相談した上で、安全性が確認された高品質の製品を選ぶことが重要です。

まとめ:ICLはデメリットやリスクもある。専門性の高い眼科医に相談して納得のいく判断を

ICLを受ける前に知っておくべきデメリットやリスク

ICL手術にはメリットだけでなく、デメリットやリスクも存在します。そのため、ICL手術を検討する際には、専門性の高い眼科医に相談し、納得のいく判断をすることが重要です。

メリットだけでなく、デメリットや注意点についても理解したうえで、自身に適した選択をしましょう。